「社員に3ケタのボーナスを出すのがずっと夢だった」寡黙な社長の心温まる本音に触れました。

イエロー

written by 伊藤愛結

インタビュイー:相澤 輝充さん

インタビュイー:相澤 輝充さん

板谷建設株式会社の3代目社長。 関西の大学に進学したが、29歳で地元にUターンし板谷建設に一社員として入社する。 曰く「サラリーマン社長」。 仕事をする傍ら6人の子どもを育ててきた社長自身の経験から、板谷建設は「子育てを第一に優先できる会社」になっている。

インタビュアー:加納宗明

インタビュアー:加納宗明

インビジョンのぶっこみ隊長兼ADD1の経営者。 会社を経営する傍ら、インビジョンにて採用とは?を勉強中。 建設業界の採用を変えていくために、日々奔走中!

インタビュアー:齋藤彩

インタビュアー:齋藤彩

インビジョンのライター。 お客様の想いを言葉にして届ける仕事にやりがいを感じまくっている。 インタビューでお客様の話を直接聞く時間が大好き。

岩手県奥州市にある板谷建設株式会社。

65年にも渡り地元で愛され続けてきたこの会社には、誰よりも社員の未来を思いやる心優しい社長がいました。

普段は多く語られることのない社員への想いを、今回は特別に打ち明けていただきました。

 

一社員が創業65年の老舗企業で社長になるまで

 

加納:設立秘話を教えていただけますか?

 

相澤社長:実はわたし、サラリーマン社長なんです。

30になる前に地元に戻ろうと思って29で帰ってきたんだけど、当時既に4人も子どもがいたから、すぐ働かなきゃいけなくてね。

職安に行ったら、なんとうちしか募集してなくて(笑)

数多から選んだわけじゃなく、たまたま入社しました。

9年前の震災の年に先代社長が心筋梗塞で亡くなって、そこから正式に引き継ぐことになったんです。

 

齋藤:社長になるまでどのようにポジションを上げていったんですか?

 

相澤社長:板谷建設って、もともとは土木主体の会社だったから建築にはあまり力を入れてなくて

でも土木主体だとどうしても仕事が薄くなってくるから、自分で仕事を探してやってたんです。

そうやって積み重ねてきたことが評価してもらえたんだろうなと思います。

 

加納:社長になると大変なことも増えると思うんですが、相澤社長なりの乗り越え方はありますか?

 

相澤社長:大変なことは、そりゃぁいっぱいありますよね。

そんな時は、思い通りにならない!じゃなくて現実を受け入れるって決めています。

そういう選択をしてきてそこにたどり着いているわけだから、何としても通らなきゃいけない道なわけで。

乗り越えるために色々策を講じてると、だんだん楽しくなってきたりもするんですよね。もちろん落ち込むこともありますけど…

大変なときこそ、自分を俯瞰できればいいんじゃないかなと思いますね。

私の場合は上にもう一人の自分がいて「お前そんなことで泣いてんのか」って言ってくれるんです(笑)

 

齋藤:どうやって自分を俯瞰できる境地に?

 

相澤社長:人間、どういう人に巡り合うのかってことが一番大事だと思うんです。

私にも本当に仲の良い友だちが二人いるんですが、一人は起業して、もう一人は頼まれ社長になったんです。

二人ともただの社員だったのに、最後は一番年下の私も含めみんなが社長になって。

私がまだ社長になる前から、二人に大変なことがあると「あいちゃーん!」って電話が来て飲みに行ったりしてて。

そんな二人の姿から自然と学んでのかもしれませんね。

社長になる前は二人の悩みの大きさなんてよく分かりもせずに「大丈夫だよー」なんて言ってましたけどね(笑)

 

社員がボーナスをもらって喜んでいる、その姿を見るのが社長としての喜び

 

加納:社長業の醍醐味って何だと思われますか?

 

相澤社長:地方ってやっぱり公務員が人気なんですよね。

安定してるし給料も高いし、私も最初は公務員はいいなー、なんて思うこともありました。

そういう思いもあって、社員に3ケタのボーナスを出すのがずっと夢だったんです。

それができた時に、社員が「嬉しい」「想像以上だった」って言ってくれたことが何よりも嬉しかったですね。

自分が社員のときはもらうのが嬉しかったけど、今は社員がもらって喜んでいるのを見る喜びというか。

アイスを買って帰ったら子どもって喜んでくれるじゃないですか。それに似たような喜びがあるんですよね。

 

齋藤:”社員想いの会社”を謳っている会社ってたくさんあると思うんですけど、相澤社長のその気持ちと行動が、社員を想う何よりもの証明ですね…!

 

相澤社長:「社員に未来があるなって感じてもらいたい」ってことをずっと考えていますね。

どこまで伝わっているのかは分かりませんが…(笑)

社員からそういう評価をしてもらいたいわけじゃないしね。

とにかく社員にとっては未来が見える会社でありたいんです。

今年はコロナがあって社員も不安になってたのか、「俺今年はボーナスもらえると思わなかった!」って喜んでもらえたのが一番嬉しかったな。

 

 

寄付先の見えない寄付よりも相手が見える寄付を

 

加納:これからしたい取り組みなどはありますか?

 

相澤社長:今って高齢者の時代じゃないですか。

だから電気が壊れたりとか換気扇を掃除したいとかいう、日常にある”困った”から助けてあげられる存在になりたいと思っています。

引退した人達がそこに行って働ければ、”お客さんも社員も高齢者”っていうどちらの力にもなれる仕組みができるなと思ってたんですけど…

本業が忙しくてしっかり取り組めていないのが現状です。

 

社会貢献のために寄付とかもしてるんですが、寄付先の見えない寄付よりも見える寄付をしたいなと思っていて。

75歳以上はタダとか、そういう事業をするのが今の目標です。

社員一生の面倒を見れたらいいなと、そういう夢を持ってます。

 

 

男ばかりの業界だからこそ、女性が活躍したいと思える会社に

 

加納:社長の感じている会社の課題って何ですか?

 

相澤社長:これからの時代、女性にどのように活躍してもらうか、ですね。

世の中は男女で構成されているから、男だけで構成されているこの業界って多分いびつで。

外に出て走り回るのは男でもいいけど、技術者は女性でもいいじゃないって思うんですよね。

男と同じ土俵で、という訳じゃなくて、それぞれが活躍できるフィールドで。

男も会社だけじゃなくて家でも働かないといけない時代ですしね。

 

齋藤:女性が働きやすいように何か取り組まれてたりするんですか?

 

相澤社長:現場支援に女性も行けるように、全現場に女性専用のトイレを作りました

あとは女の人を集めて何回か食事をしてみたりもしたけど、やっぱり女の人は難しいですね…。奥さんも難しいけど…(笑)

私の発想にも限界があるから、もっと意見を出してくれたらなと常々感じています。

陰でだったら色々言ってるかもしれないですけどね(笑)

 

社内で「女性の活躍を後押ししたい」って言った時、幹部に「女性はそんなことまで考えていないのでは」って言われたことがあって…

あー、女性はそこまで求めてなかったのか、って気付かされたこともあったんですけどね。

私も子どもが6人いるから子育ては第一優先でやるべきだとも思ってるし、子育てに関わる休みも絶対NOなんて言いません。

ただそんな風に時間が限られた中で、仕事も頑張ろうという意欲のある女性を応援できる会社でありたいと思っています。

 

齋藤:社員の意欲を上げるのって、かなり大変なことですよね…

 

相澤社長:大変ですねぇ…でも大変なことは面白いことですから。

女性が少しずつ変わってきたら絶対面白いと思うんです。

 

加納:働くことを面白いって言い切れるのって、本当にかっこいいです。

 

相澤社長:仕事で”苦労だけする”なんて本末転倒じゃないですか。

働くことが苦になっちゃいけないから、社員にも働くことを楽しんでもらいたいんです。

そのためには普段の生活も充実してないといけないんだけど…

社員にとって働くことが”日々を豊かにするための道具”になったらいいなと思っています。

 

 

あとがき(社長がオンライン会議から退出した2秒後)

 

加納:いや~めちゃくちゃ熱くていい社長さんだったね…!

 

齋藤:社長にあんな風に考えてもらえる社員さんって幸せだろうなぁ。

ボーナスの話、ちょっとうるっとしちゃうくらい感動しました…!

 

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お話を伺っていたら、社長の想いはきっと社員さんに伝わっているだろうなと感じました。

相澤社長、今日は優しくて熱い想いを聞かせていただき、本当にありがとうございました!

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